「Facebookみんなのいけばな展」は、草月いけばなを学ぶ人、草月いけばなが大好きな人なら資格を問わず誰でも参加できる、Facebook上の展覧会です。
2020年4月19日(日)~6月30日(火)に受付しておりました9回目の募集には、世界各地より876件もの応募が集まりました。
まさに、前代未聞の投稿数です。
たくさんのご参加、まことにありがとうございました。
Facebookにて、全ての応募作品をご覧いただけます。
ぜひご覧ください。

お知らせ

新型コロナウィルス感染拡大による国際郵便物への影響から、現在第8回および第9回Facebookみんなのいけばな展の副賞の発送を見合わせております。お待たせして申し訳ございませんが、ご了承いただけますようお願い申し上げます。国内は2020年11月初旬より先行して発送いたします。状況が改善され次第、速やかに発送いたしますので、受賞者の皆様はどうぞ楽しみにお待ちいただけますようお願い申し上げます。

  • 金の月賞・銀の月賞(草月陶房オリジナル花器)
    国内:2020年11月初旬より順次発送予定
    海外:問題なく発送できる地域に限り2020年11月初旬より順次発送予定
  • いけるちゃん賞最優秀賞(いけるちゃんグッズ)
    国内:2020年11月初旬より順次発送予定
    海外:問題なく発送できる地域に限り2020年11月初旬より順次発送予定
  • いけるちゃん賞参加賞(いけるちゃんグッズ)
    国内:2020年11月中旬より順次発送予定
    海外:問題なく発送できる地域に限り2020年11月中旬より船便にて発送予定

総評

この展覧会の募集を始めた2020年4月と言えば、日本でも緊急事態宣言が発令されていた時期で、毎日が緊迫した空気に満ちていたことを覚えています。
新型コロナウイルスが猛威を振るう中、世界中で、自由に外出ができない、人と会うことができないという、困難な状況が続いていました。
そんな中で、果たして作品が集まるのか、正直なところ、私にも確信がありませんでした。
ところが、それは全くの杞憂だったようです。
寄せられた作品からはみなさんが楽しく花をいける姿が目に浮かぶようで、私自身、どれだけ勇気付けられたことでしょう。
どんな逆境にあっても、「それでも自分にはいけばながある」という思いを抱き続けてくださったみなさんを、心から誇りに思います。

また、今回は、「おうちでいけばな!」をテーマにしたところ、みなさんのひらめきやセンスがそれぞれに光り、その斬新さに、思わず微笑んでしまうような作品もありました。
みなさんはきっと、おうちにどんな花がどこにどう飾ってあったら素敵だろうかと、あらためてじっくりと考えてみたに違いありません。
いろいろなデザインの家具、様々なリビングルーム、キッチン、そして庭。
国によってもその雰囲気には違いがあり、いける人の数だけの「場」があります。
同じいけばなを学ぶ仲間たちの生活スタイルが、ほんの少しずつ垣間見えることも楽しみの一つとなったのではないでしょうか。

おうちを花で豊かにしようという試みは、まず、いける人の心をほぐし、ともに暮らす人にも安らぎや喜びを与えることができます。
そして作品をSNSに投稿すれば、もしかしたらこの広い世界のどこかで、知らず知らずのうちにも誰かを勇気付けているかもしれません。
どの国もほとんど同時期に新型コロナウイルスの脅威に曝されたことから、これまで以上に人々は国境を越えて共感し合い、励まし合うこととなりました。
花をいけることから生まれる相乗効果で、これからも素敵なおうち時間を過ごしていただきたいと思います。

草月流家元 勅使河原茜

受賞作品

金の月賞

  • 名前:ウルスラ・アルテンバッハ/スイス
  • 作品のタイトル:the sound of music(サウンドオブミュージック)
  • 花材:ポピー、しゃくやく
  • 花器:陶器花器
  • コメント:軽やかで楽しい気持ち

家元よりコメント

この作品を一目見るなり、軽やかで楽しい気持ちが伝わる作品だと思いました。ポピーが描くいびつな曲線や葉の表情が、背景にある書の動きと響き合い、またとない景観を作り出しています。一見、とてもラフにいけられているようにも見えますが、器の形状や空間に置かれた色彩のバランスなどもよく考えられており、シンプルで無駄がありません。

銀の月賞

  • 名前:ルミアナ・ウズノヴァ/イタリア
  • 作品のタイトル:The colors of my life(私の人生の色)
  • 花材:しゃくやく(エンジェルピンクと白)
  • 花器:陶器花器
  • コメント:なし

家元よりコメント

しゃくやくのみで構成し、花のボリューム感で魅せる作品として構成したところに、潔さを感じます。背景のアート作品といい、ユニークな形状の花器といい、それぞれに個性があって同じ空間の中では結びつけにくそうにも思えますが、自然と調和しています。アート作品との距離感や、花器の選び方、そして、花材の選び方がいいからでしょう。

  • 名前:オディール・カールトン/フランス
  • 作品のタイトル:RELEASE(解放)
  • 素材:こでまり、ワイヤー
  • 花器:陶器花器
  • コメント:花器と調和するように白とシルバーのみを使いました。こでまりとワイヤーを絡ませ、混沌の状況から最終的に解放され、落ち着きと充実感が生まれることを表現しました。

家元よりコメント

繊細なこでまりに異質素材のワイヤーというと、組み合わせとしては難しく、ともすればワイヤーがこでまりを痛めてしまい、残酷さを感じさせる表現にもなりかねませんが、この作品では両者の関係に無理がなく、見事に調和しています。花器から立ち上がらせることによって、ワイヤーの動きものびのびと見え、こでまりの柔らかな花の表情も際立っています。

  • 名前:上市 郊帆/日本
  • 作品のタイトル:新たな気持ちで
  • 花材:ヤシ、紅葉、ヴァンダ、アガパンサス
  • 花器:ガラス花器
  • コメント:新しい生活様式の中で、レッスンが再開されました。レッスンで使用した紅葉と個性的なヤシをオレンジのガラスの器に合わせてみました。

家元よりコメント

流れるようなヤシの表情が最大限に引き立てられています。他の花材だけでも作品として成立するボリュームですが、ヤシとのバランスもよく、それぞれの質感の違いを楽しむことができます。足の部分しか見えていないガラス花器も、ポイントとして軽やかさと浮遊感を与えています。さりげなく見えるようでありながら、よく計算してまとめられている作品です。

いけるちゃん賞最優秀賞

  • 名前:アルビー・デューク(6歳)/オーストラリア
  • 作品のタイトル:Using lots of leaves(たくさん葉ものを使って)
  • 花材:ニューサイラン、パピルス
  • 花器:陶器花器
  • コメント:葉ものを折って面白い形にするのが好きです。花器を変えてみることも好きです。

家元よりコメント

葉ものの形を変えて、変身させる楽しさが伝わってきます。いけかたにもリズムがあり、器との関係も大胆です。

  • 名前:杉江 優佳(12歳)/日本
  • 作品のタイトル:梅雨
  • 花材:田植えぐみ、アジサイ、スターチス
  • 花器:籠
  • コメント:今の季節をイメージして、雨が降っている様子を表現しました。

家元よりコメント

花材それぞれの特徴をとらえ、花だけでなく葉の動きにも注意しながら、丁寧にいけられています。季節感が感じられる作品です。

  • 名前:アメリア・ワーナー(9歳)/スペイン
  • 作品のタイトル:Ramune(ラムネ)
  • 花材:やぶらん、ガーベラ、漏斗
  • 花器:ラムネの瓶
  • コメント:マドリッドの暑い夏の日には、冷たいラムネを飲んで、昨年の夏休みに日本に行った時の思い出を語りました。

家元よりコメント

余計なものが一切ない、抜群の構成力です。ラムネ瓶の赤いラベルが漏斗へとつながっていき、浮遊感をもたせながら植物へと続きます。いけている時の楽しさも伝わってきます。

Facebookにて、全ての応募作品をご覧いただけます。
ぜひご覧ください。

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